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エレーナ・ブヤノワ:「ソトニコワは、何が欲しいかをいつも知っていた」(2)

先日掲載したブヤノワコーチのインタビュー記事の続きです。今回は、アデリナが大会で演技がなかなかまとめられなかったこと、国別対抗戦の代表から外されたことについて語っています。日本から帰ってきてもうやめようと思っていたこと、国別対抗戦から外された時のアデリナのこと、読みながらとてもつらかったです。

たぶん、あと2回続くと思います。

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エレーナ・ブヤノワ:「ソトニコワは、何が欲しいかをいつも知っていた」


http://winter.sport-express.ru/figureskating/reviews/43758/
エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ

(続き)

(このシーズンは、グランプリ・ファイナルでも完全な失敗でしたしね)
そのときは、日本から帰ってきてキャリアを終えようと思っていた。もうほとんどあきらめかけていた。ソトニコワ自身も含めて、みんな。この先、どう行けばいいんだろう?ただ誰もわからなかった。練習ではアデリナはミスしないのに、実際は2つのプログラムを揃える能力がないまま時間ばかりが過ぎていくことが。記者の待つミックスゾーンにいったいどうやって出続けることができるのか?何を話せばいいのか?

私は、プロとして全く不適格だったけど、どんなに努力してもこの終わりのない失敗のプロセスを止めることが出来ず、昼も夜も自分に言いがかりを付けていた。アデリナも全く同じで自分を責めていた。はっきりと言えるのは、12月の時点では、2人とも、練習をつづけることよりも、滑るのをやめてこんな悩むのを止めたいと思う気持ちがかなり強かった。

(でも、実際はやめませんでしたね)
それは、もう1度だけ試してみようと決めたから。最後に。アデリナには本当に感謝している。彼女と一緒に私は多くのことを学んだ。彼女の失敗によって、私は常に考えを巡らすよう奮い立った。彼女が決して反抗しなかったというのが重要だった。私が何を提案しても、何を考えついても、不平を言わずにすべてをやってくれた。こういった状況で、やり場のなさからスケーターとコーチが別れてしまうことはよくある。しかも、それがうまくいくこともあるから、私もそういった態度を理解した可能性も十分ある。でもアデリナは我慢強く私とともに歩んでくれたし、しかも、常に足並みを揃えて進んでくれたイメージ。

タチヤナ・アナトリエヴナ・タラソワは、全部を見ていてくれて、あるとき私にこう言った。「レーナ、これだけ練習して何もないということはない。いつか絶対にすべてが大きな結果へと流れ出るから、信じなさい」と。

(しかし、「武器」は最後に火を吹きましたね?しかし、率直に申し上げると、いまでも理解できないのは、いったいどうやってスケーターを戦闘状態に仕上げられたのかということです。国別対抗戦の代表から外れたというのに)

代表から外れたというのが問題ではない。それがどのようになされたかが問題だった。私は代表チームでオリンピックに向けて2人のスケーターを教えていた唯一のコーチだった。1人は出場が予定されていて、もう1人は補欠でしたが。当然、私はどこに向かって仕上げていくかを正確に知っていなければならなかった。2月9日なのか、19日なのか。モスクワの地方大会に行くという話ではないのだから。

もちろん、とても神経にさわることだった。今ならわかるけど、ソトニコワに対して、事前に国別対抗戦に出るということを言ったのは私の間違いだった。私のところにはまさにそういう情報があったから。その後数日して、ソトニコワが代表に入っていないことを知った。

このことをアデリナに話したら、戦う準備で音を立てていたような人間が、まさに私の目の前で、空気の抜けた空っぽの殻だけになってしまったように見えた。彼女から人生すべてが消えてしまったような。でも、彼女をあわれむ権利は私にはなかった。そんな同情を1滴でも許してしまったら、彼女をまた「集める」ことが二度とできなくなってしまうと理解していたから。自分も同じことだったけど。

でも私はあまりに自分の責任を感じていたから、アデリナの目を見ることもできなかった。彼女を裏切ったと思った。こんな風に状況が展開するとは予測できず、チャンスを守ることが出来ずに失ってしまったと…。

まさにそのとき、初めてプレッシャーが急に大きくなった。

(続く)

テーマ: フィギュアスケート | ジャンル: スポーツ

来シーズンからの新ルール(ISU1861):ジャンプについての変更

ISUコミュニーケーションNo.1861にて、来シーズン以降のルールの変更について公表されました。ジャンプ、スピン、ステップについていろいろと変更がなされています。ジャンプについて、ざっと見た部分をまとめてツイに流しましたが、こちらにまとめておきます。

なお、原文はこちら(PDF)。

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とりあえず来シーズンとその次は、今までと同様プリパレーションでフリップとルッツをコールするみたいですね。その先は、実際のエッジで判断する事になるかもしれません。そうなると、例えばフリップ2本とルッツ2本を入れているプログラムの場合、例えばフリップがエッジエラー取られるとルッツ4本扱いになり、2本が無効になるということでしょうか。これについては議論継続のようですが。基本的に、エッジエラーでベースバリューを減らすなどの厳格化が見られますね。

また、ショートの規定ジャンプの遂行がより厳格になるようです。規定の回転数に満たないとノーバリューになるという…。コンボの最初がダブったりしたらその時点0点確定と。厳しい…。

テーマ: フィギュアスケート | ジャンル: スポーツ

ソトニコワ「日本では観客が立ち上がってくれたから、私の思いを伝えることができたと思う」

ソトニコワのEXについての本人コメントがありましたので抄訳しました。新しい白鳥、生で見たかったな…。

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ソトニコワはEXナンバー「白鳥の湖」を戻したことは正しかったと考えている。


http://rsport.ru/figure_skating/20140425/743752846.html
アンドレイ・シモネンコ

オリンピックの後、(振付の)チェルヌィシェフと一緒に、2つのEXを振り付けることにした。1つ目はCome Togetherで、観客が熱くなれるような。みんなずっと見ていたいと思ってくれると思う。

2つ目は「白鳥の湖」の「黒鳥」、2009年のやつだけど、その後もショーでは滑ってた。戻したのは正しかったと思う。日本では観客が立ち上がってくれたから、お客さんに私の思いを伝えることができたと思う。古いのと新しいのは違うもの。以前はバレリーナのように白鳥を滑ってた。

この新世代は白鳥っぽくない。最初は抑圧された少女で、全てが恐ろしい。でもそれから白鳥の湖の音楽が始まって、その音が面白くて踊りたくなるの。言葉でこのナンバーの意味を伝えるのは難しいけど、性格を名付けるなら「戦い」かな。

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小ネタ集:プルシェンコ、ソトニコワ、リプニツカヤ、コフトゥン、ヴォロノフ

ブヤノワコーチのインタの訳を続けたいところですが、スケーターからいろいろと短いコメントが出てきているのでまとめてみました。

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プルシェンコ









ソトニコワ







リプニツカヤ






コフトゥン






ヴォロノフ







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投稿コメントでいただいた質問ですが、以下ご参照ください。
投稿コメントでいろいろ応援コメントいただき、ありがとうございます!返信ができないので、どうやってお答えしようかと思いましたが、ツイッター等で答えられればと思います。記事へのコメントには返信ができます。


テーマ: フィギュアスケート | ジャンル: スポーツ

エレーナ・ブヤノワ:「ソトニコワは、何が欲しいかをいつも知っていた」(1)

ソトニコワのコーチ、ブヤノワのロング・インタがSport-expressに掲載されていました。ソトニコワの調子がなかなか上がらない期間、かなり苦しんでいたことを告白されています。浅田についての考え方も少し(今回の記事には出てきません)。

今回は冒頭部分、どのようにソトニコワをオリンピックに向けて調整していったかの序盤を訳しました。トリノのカロリーナの経験があったから、アデリナにはメダルについて意識させないように努めたけど、アデリナは最後まで諦めなかったというところが印象的です。また、アデリナとリーザがロシア女子のレベルを上げすぎてしまったこと、その後の苦しさにも言及してます。

長いインタなので、3分割や4分割になるかと思いますが、ざっと見たところ本当に面白い内容ですので、気長にお待ちいただけると幸いです。

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エレーナ・ブヤノワ:「ソトニコワは、何が欲しいかをいつも知っていた」


http://winter.sport-express.ru/figureskating/reviews/43758/
エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ

夫が空港に迎えに来てくれたときのことを思い出すと暗くなる。まるで霧の中にいるようだった。最初の2週間はただ寝て、食べて、そしてまた寝ての繰り返しだった。大きなプレッシャーという問題がどんなものかというのが、ソチではじめて分かった。毎朝、マッサージをお願いしているタマラ・グヴォズデツカヤが部屋に入ってきて私を起こし、常用薬を飲ませてくれて、それでやっと起き上がることができたくらいい。アデリナがフリーを滑ったときなんか、私はもう立っていられなくて、フェンスにつかまっているくらいの限界にいた。

(アデリナは金メダルの演技で実質的に人生すべてを出しきりました)
彼女は何年もずっとそのために歩いてきたのだから…。実際、私たちにとってとてもつらいことだった。2人とも、ここ2年間であきらめようと思い始めていたところだった。アデリナとリーザ・トゥクタムィシェワは、かつて女子スケートのハードルをとても高く上げ、そのためにかなり激しい競争が引き起こされた。でもその後突然、2人とも、その高みに留まり続けることが常にうまくいくわけではないと感じられるようになった。2年間ずっと転んだことのないスケーターが突然転ぶようになると、何が起こっているのか理解するのがとても難しいことがある。でも、アデリナが耐えぬいたことをとても嬉しく思っている。どれだけの女の子が、成長期にレースを放棄するかご存知でしょう。

(ソトニコワにとっても、高みに達せないという危険はありましたしね。他の多くの女子スケーターがそうであったように。オリンピック金メダリストを育てるということ自体は可能なものなんでしょうか?それともこの結果は、いつも状況の偶然の一致によるものなんでしょうか?)
おそらく両方。一定の成功がなければ、言うまでもなく、なにもうまく行きかない。私自身が教えられていたときもそんなことをずっと考えていた。同じリンクには私以外にも何人か女子スケーターがいて、私より出来の悪い子は確実にいなかったし、私より良い点も持っていたかもしれない。少なくとも、私より練習していない子はたぶんいなかった。でも、私には突然結果がついてきて、彼女たちは結局どこにいったかもわからない。

コーチとして働くようになってから、何よりも恐れていたのはこのことだった。スケーターを預かって、そのスケーターの目標にまで連れて行くことができないのではないかと。これだけの努力と健康を犠牲にして、何も持たずにスケートから去るのはとてもつらいことだと思う。しかも、こういう人たちは、他の職業でどれだけ成功したとしても、その後の人生でずっと、どこかとても深いところにこの痛みが居座りつづける、というのを私は何度も見てきた。何かとても大きなものに到達できたかもしれないのに、それができなかった、という痛み。ただ、状況がそうならなかっただけだというのに。

(ソチ・オリンピックが始まるまで、ロシア女子のチャンスについては、最高でも誰か1人が銅メダルにしがみつければ良いという見方に皆さん傾いていました。でも、心理的に「銅メダルにしがみつく」よう思わされたスケーターが、それよりも上のものを得られるとは、この人生で信じることはできません。あなたはソトニコワについて、そして自分自身について、最大限の結果に向けて以前からどのように気持ちをコントロールしようとしたのでしょうか?)
ホームでのオリンピックにはとても警戒していた。ホームでの空気というのがカロリーナ・コストナーを完全に打ちのめしてしまったトリノのことを知りすぎていたから。だから、アデリナがメダルの可能性をあまり意識しないように努めた。でもアデリナはひそかに1位というのをずっと頭に置いていた。このシーズンはかなり長いこと悪い方へ悪い方へと進んでいたから。アデリナが練習でひどい滑りをしていたとときには訊いてみることもあった。こんな滑りで何を期待しているの?彼女はいつもぶつぶつ言っていた。「それでも私はオリンピックで金メダルを獲る」と。

(彼女がそう言っていたのは、あなたに対してだと確信していますか?)
アデリナはまず自分自身を信じさせようとしていたのだと思う。ソトニコワにとって重要なのはなんだかご存知?彼女の心の奥底には、とてもしっかりとして折れ曲がることのない軸がある。それが常にあった。彼女は自分が欲しいのは何かを知っている。もちろん、今年、アデリナにはたくさんの様々な専門家が協力してくれたという事実を忘れることはできない。彼らと、スケート連盟、スポーツ省が支えてくれたこと。きちんとした練習ができたのは、彼らの努力によるところが大きい。スケーティングの専門家や、体力トレーニングのトレーナー、振付師、マッサージ師、物理療法科の医師、栄養士などが入ってくれて…。以前はそんなこと夢にも思わなかったことで、率直に言うと、心の底からこれがこの先も続くことを期待している。

はじめは、アデリナをこの専門家たちの間でどう分けるべきなのか、私自身よくわかっていなかった。自分が調整役も引き受けることになった。ちょっと乱暴に聞こえるかもしれないけど、馬をよく世話をしてかわいがっている素晴らしい厩から、跳躍演技のために出てきた馬の毛並みすべてが、シルクのようにツヤがあり流れるような感じを思い起こさせることがある。私たちはアデリナをオリンピックに向けてそんな状態に仕上げた。

(続く)

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