無料アクセス解析

ゴンチャレンコ:「煮えたぎった鍋に飛び込むのは恐ろしいけど、私たちはそこで煮こまれている」(後):振付チームと新プロについて

ちょっと間が空いてしまいましたが、ラジオノワのコーチであるゴンチャレンコ・コーチのインタビューの後半部分を紹介します。最後のコーチ論の段落については割愛しました。コーチを育てるためにも支援が必要だという内容です。

前篇はこちら

* * *

インナ・ゴンチャレンコ:「煮えたぎった鍋に飛び込むのは恐ろしいけど、私たちはそこで煮こまれている」
http://fsrussia.ru/intervyu/114-inna-goncharenko-strashno-prygnut-v-kipyashchij-kotel-no-my-tam-varimsya.html

(続き)

(振付の作業は誰が手伝っているのですか?)
今回の合宿では、カーチャ・チホノワが新しい振付師として参加している。それから、ステップとダンスエレメンツの専門家としてセルゲイ・ヴェルビッロ。私たちのチームのコーチであるデニス・レウシン。すでに述べたとおり、イリヤ・アヴェルブフがレーナ・ラジオノワのプログラムの1つを振りつけてくれた。その他のスケーターの振付はエレナ・スタニスラヴォヴナ・マスレンニコワ。

彼女については詳しくお話ししたい。協力関係はすでに8年になる。エレナ・スタニスラヴォヴナ(・マスレンニコワ)は素晴らしいスペシャリスト。知的でしっかりしていて、頭もよく、明確かつ繊細なセンスを持ってる。経験と革新的なアイディアをうまく組み合わせてくれる。娘のワレリヤ・ランスカヤは劇場・映画女優。下の娘のナースチャもとても才能ある女の子。お分かりのとおり、エレナ・スタニスロヴォヴナ(・マスレンニコワ)はいつも劇場に通っていて、新作にも目を通している。最新の傾向や潮流にも通じている。ここから彼女の振付の多様性が生まれている。レーナ・ラジオノワのエキシプロで最高だったゾンビはみんなにとても愛されたけれども、これもマスレンニコワの仕事。

エレナ・スタニスラヴォヴナ(・マスレンニコワ)とは共通する部分が多くて、見方も似ている。でも重要なのは、私たちはお互いに補完しあっていること。時折彼女は私の嵐のような幻想を消して、必要な方向に流れを向けてくれる。

私たちが残念ながら唯一直面している問題は、エレナ・スタニスラヴォヴナ(・マスレンニコワ)がテレビ番組の「氷河期」※でも仕事をしていてとても忙しいということ。そのせいで、彼女はプログラムを振りつけて、その後半年はいなくなってしまう。その作業は最後まで持って行かなくては行けなくて、理解してくれる振付師が必要になる。

※有名人や素人がアイスダンス・ペアのプログラムで滑る番組

(それで何か問題でも?)
問題というのは、最初の構想を維持しながら振付作業を終わらせることができる振付師が必要だということ。マスレンニコワがプログラムを振付して、そこには良かれ悪かれ一定のアイディアが入っているのだけれども、それは私たちが表現したい構想でもある。しかし、振付師はよく自分自身の見方や考え方を持っていて、それにしたがってすべてを変え始めることがよくある。振付の段階からそういった振付師を呼んでくるよう努力していた。話を尽くして、説明してみせて。でも結局最後には全く違ったプログラムができあがってしまう。

今回はカーチャ・チホノワを招待した。すべて問題なくいくことを願う。カーチャ自身も全てに入り込むことが面白いようだ。

(新しいプログラムの作業で一番難しいことは?)
この仕事では捨てていいことがない。まったくすべての部品が重要な役割を演じている。でも、音楽の選択がコーチにとってとても重要な仕事で、それがときおり創造の苦悩へと変わってくる。この活動範囲でサポートしてくれるようなスペシャリストを見つけるのは本当に難しい。エレナ・スタニスラヴォヴナ(・マスレンニコワ)とか、音楽の録音・アレンジをしてくれるフィリップ・チョルノフのような。彼もとても才能のある人で引っ張りだこ。映画やテレビ、演劇の音楽を書いている。空いている時間を捻出するのが難しい。こういったクリエイティブな人たちはみな夜型で、夜に仕事をしているから、私たちと時間が合わない。コーチは朝早くからリンクに立っているから。でも合わせないといけない。

(シナリオの選択にはどうかかわっているのでしょうか?例えば、小さなスケーターに大人っぽいプログラムを組むときなど。)

どこに基準があるというの?ダーニャ・ベルナジネルは「ロミオとジュリエット」のミュージカル音楽で作ったプログラムを滑っている。ダーニャは14歳。でもロミオは何歳だった?それから、実際のシェークスピア作品がこの振付に何パーセント残っている?現代のポップ・カルチャーの言語への翻訳と言った方が近いでしょう。

フラメンコは真剣なテーマ。でもスペインでは3歳から子供が踊っている。タンゴは情熱のダンスと言われている。けれどタンゴは同時に民衆の踊りでもある。例えば、ロシアの「カリンカ」で、イリーナ・ロドニナとアレクサンドル・ザイツェフが演技をしていたけれども、その時には彼らはすでに経験あるタイトルをとっていたスケーターとなっていた。今はこの音楽を4歳のスケーターを選んでいる。「触らないで!まずは偉大な人たちのレベルにまで育ってからね」なんて言うの?そんなばかみたいな論理。

音楽がコーチとスケーターの心に響くかどうか、これが一番大切な基準。音楽が感情や苦しみ、思いを表現することを導き助けてくれるのなら、それを選んで滑ればいい。20歳になっても、例えばチャイコフスキーの作品を理解できなかったり、正しくない理解をしたりする人もいる。でも、何が正しいと言えるのだろうか?創造ではそんな質問に答えがないことがよくある。

(あなたは「ニューウェーブ」のコーチで、教え子とともに成熟のステージを通過しているところともいわれています。この先簡単になるのか、それともより難しくなるのか、どう思われますか?)
この先より悪くなって難しくなるとは思ったけど、簡単になるなんて全然思えない。煮えたぎった鍋に飛び込むのは怖いけど、私たち自身が飛び込んで煮こまれている。でも、問題ないとも思う。願いと目標があるのなら、そんな問題には注意を向けなくてもいい。

(後略、終)

テーマ: フィギュアスケート | ジャンル: スポーツ