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スケカナレッスン2016(1)スケーターズ・フェイバーについて(講師:羽生結弦)

スケートカナダ2016では、フィギュアスケートのルールについていろいろ新しく知るところがあったので、まとめてみたいと思います。気力が続けば。

第1回は、羽生結弦先生を講師に迎えた、「スケーターズ・フェイバー」です。


スケカナ2016レッスン(予定)
(1)スケーターズ・フェイバーについて(講師:羽生結弦(SP))(今回)
(2)ステップ・シーケンスの要件について(講師:宮原知子(FS))
(3)コスチュームについて(講師:本郷理華(FS))
(4)REPのリカバリについて(講師:レイノルズ(FS))
(5)ステップ・シーケンス中のジャンプについて(講師:サモヒン(FS))




なお、引用は全てISUジャッジングシステム
テクニカルパネルハンドブック
シングル・スケーティング 2016/2017版
http://www.jsfresults.com/data/fs/pdfs/comm/2016hb_single_0810.pdf
から取っています(ページ数含む)。



1. スケーターズ・フェイバー


直訳すると、「スケーターに有利に」です。ISUのルールを見てみると、何箇所かで出てきますが、判定が明確にできない場合は、選手に有利なように決定する原則のことです。

今回、講師の演技で出てきた問題に関連する箇所は、次のようになっています。

ジャンプ要素>明確化>ショート・プログラム>
第2ジャンプがないジャンプ・コンビネーション

ジャンプ・コンビネーションで第2ジャンプがなかった場合、テクニカル・パネルはどのジャンプ要素がコンビネーションを意図したものであるかを演技中または終了後に特定する。(どちらともステップがあったり、どちらともステップがなかったりと)どちらがコンビネーションでどちらがステップからのソロ・ジャンプであるか特定するはっきりとした方法がなければ、テクニカル・パネルは、どちらがソロ・ジャンプでどちらがコンビネーションであるか、選手に有利なように決定する
(p.17)



さて、では講師の羽生結弦先生のショートプログラムの関連する箇所を見てみましょう。

最初の4Lo<< 0:54~

LBO-チョクトウ-RFI-カウンター-RBI-LFO-スリー-LBI-RBO-イーグル-RBO-クロスフロント-LBO-クロスビハインド-RBO → 4Lo<<

二つ目の3S 1:18~

LBO-チョクトウ-RFI-チョクトウ-LBO-クロスフロント-RBI-チェンジエッジ?-RBO-LFO-RFI-モホーク-LBI-RBO-スリー-RFI-モホーク-LBI → 3S

両方とも、コネクティングステップが入ってると言って良いのではないでしょうか。どちらも「ソロジャンプ」としての条件は満たしていると思われます。


さて、シニア男子がSPで跳ぶ必要のあるジャンプは、ご存知のとおり3つです。

1.アクセル
「ダブルまたはトリプルアクセル」(p.14)

2.ステップからの単独ジャンプ

「コネクティング・ステップおよび/またはそれと同等の他のフリー・スケーティング動作からただちに行うジャンプ」で、「あらゆるトリプルまたはクアドラプル・ジャンプ」(p.14)

3.ジャンプ・コンビーネーション
「2つのジャンプからなるジャンプ・コンビネーション」で、「ダブルとトリプル、2つのトリプル、クアドラプルとダブルまたはトリプル」(p.15)


ここで問題となるのが、3.のコンビネーションが跳べず、2.も単独、3.も単独ジャンプになった時の場合です。今回の羽生先生の例では、4Loと3Sの2つが単独ジャンプになっています。アクセルは別扱いなので、この問題には関係ないです。

おそらく、事前のジャンプ構成は4Lo, 4S+3T, 3Aでしょうから、4Loが単独ジャンプ、3Sがジャンプコンビネーションの失敗で「3S+COMBO」が付きそうなものですが、実際のプロトコルでは「4Lo+COMBO」「3S」となりました。4Loの方がコンビネーションジャンプ扱いになり、3Sが単独ジャンプとなっています。

これが、スケーターズ・フェイバーです。事前の情報にもかかわらず、実施されたジャンプを見る限り、どちらもコネクティングステップからの単独ジャンプとみなすことができ、明確にどっちがどっちかを判定できません。この場合、スケーターに有利な方、つまり点数が高くなる方が選択されるものと思われます。

では、試算してみましょう。

4Loを単独ジャンプ、3Sをジャンプ・コンビネーションのミスとした場合。
・4Lo<<
 基礎点 5.10 ※ダウングレード(DG)で3Lo扱い
 GOE -3
  ※DG判定で-2から-3、両足着氷で-3というガイドラインがあるため、-3は避けられないと思われます。
 小計:5.10 - 2.10 = 3.00

・3S+COMBO
 基礎点 4.40
 GOE -3
  ※+COMBOは必ずGOE-3になる
  小計:4.40 - 2.10 = 2.30

合計:3.00 + 2.30 = 5.30


4Loがコンビネーションのミス、3Sを単独ジャンプとした場合
・4Lo<<+COMBO
 基礎点 5.10 ※ダウングレード(DG)で3Lo扱い
 GOE -3 ※+COMBOは必ずGOE-3になる
 小計:5.10 - 2.10 = 3.00

・3S
 基礎点 4.40
 GOE 0~-2(プロトコルのとおり)
  ※着氷が乱れたジャンプなのでGOEでマイナス
 小計 4.40 - 1.20 = 3.20

合計:3.00 + 3.20 = 6.20

結果:4Loをコンビネーションジャンプ、3Sを単独ジャンプとした方が0.90点高くなる。

4Loをコンボジャンプとした方が出る点数が高くなり、選手にとって有利になるので、この判定になったものと思われます。スケーターズ・フェイバーのはっきりした好例になりました。

ただ、これは羽生が両方のジャンプの前にちゃんとステップを踏んでいるからこうなったことには留意しておきたいと思います。例えば、4Loの前にステップを踏んでいなければ、3Sがコンボ扱いになったことでしょうから。これも、現行ルールへの「対策」ですね。

講師の羽生結弦先生、ありがとうございました!


続く…かも?

テーマ: フィギュアスケート | ジャンル: スポーツ

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