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ELLE誌プルシェンコ・ロングインタ(後編) ~人間宣言~

昨日の記事の続きです。

やっぱり、ジャンプは痛いんですね…。

* * *

(痛み止めは毎日飲んでいるのですか?)
いや、練習がスピンとスケーティングだけのときは飲まない。難しいジャンプ、4回転や多回転をするときは、痛み止めがないとつらい。

(男性は痛みに耐えられないといいます。鼻風邪でさえも。大きな手術を受けた時はつらかったですか?)
いや、それは僕の仕事だと思ってる。かつて、スペインでの大会で僕は腱を傷めて、40分も救急車を待ったことがある。指が麻痺し始めていた。初めての深刻な体験だった。けど、それをポジティブにとらえたよ。それから、半月板や鼠径部も… でも大丈夫。些細なことだ。一番つらいのは腰だね。そこから逃れるのは難しくて、医者は強い痛み止めの麻酔をしてくれた。怖いぐらいの痛みがあった。2ヶ月後に氷に乗ったけど、震えて、2回転もできなかった。滑れるのかという問題が巨人のように立ちはだかった。フィギュアスケートのことを考えるのをやめて、トレーニングをしたり、ビジネスを始めようかと思った。歩けないんだよ!でも僕の医者が言ったんだ。待てば良くなるからと。彼のことを聞き入れたら、少しずつ良くなっていった。腰は、人間にとって一番重要だとわかったよ。

(レーサー同士の争いの映画「RUSH」を見ました?退屈で古い考え方のニキ・ラウダと、遊び人でリスクを嗜好するジェイムス・ハント。どちらがあなたにより近いですか?)
僕は毎日変わるんだ。今みたいに上り調子のときもあるし、練習の後、誰とも喋らずに自分の中に入って家でじっとしてるときもある。

(大会の日はどんな感じですか?)
閉じこもるよ。僕には僕の気分がある。電話は切るか取らない。誰とも喋らない。ウォームアップでも、コーチとは喋らない、ただ聞くだけ。

(あなたには欠点はありますか?)
多分なにかあるだろうね。言いたくないけど。

(ひどい欠点だから?)
僕は短気だね。でもすぐに避けるようにしてる。それから、自分に貪欲だ。ときどき都合の悪いことになる。

(お子さんにフィギュアスケートをして欲しくないという話を読みましたが、なぜですか?)
難しいし、稼ぎもあまり良くないスポーツだからね。

(フィギュアスケートが稼げないというのなら、何が稼げるのでしょうか?)
球技だね。

(下手なサッカー選手のほうが、素晴らしいスケーターよりも稼ぐと?)
もちろん。10倍だよ。フィギュアスケーターの給料は3万~5万ルーブルだ。僕は9万。でも球技は、サッカーでも、ホッケーでも、バレーボールでもバスケットボールでも、みんなまったく違う次元に住んでるんだ。ただみんなそれを言うのが怖いだけ。自分たちへの見方がおかしくなると不安なんだ。でも、本当は仕組みを変えなくてはいけない。今は政府が多くのことをしている。国中にスケート場を作ったり。でもそれだけじゃ足りない。フィギュアスケートを手の届くスポーツにしないと。子どもたちができるように幼稚園を巻き込んだり。

(ロシアにオリンピック自体必要でしょうか?オリンピックに費やされる巨額のお金は、スケート場のために使うべきなのでは?)
いや、オリンピックは必要だ。国の権威を表すものだ。僕らの国ではまともなオリンピックがなかったからね。

(今度のはまともだと?)
もちろん。なんでまともじゃないって?

(オリンピック会場に関連する恐ろしい噂がたくさんありますが)
みんなちゃんと建つよ。ロシアは豊かな国だから。ただ単にその多くが盗まれてるだけ。そういう奴らを真剣にひっ捕らえたりして、止めなくては。20-30年くらい牢屋に入れておいて。でないと、200億ドル盗んだ奴が1年牢屋に入って、出獄して静かにマイアミに住んだりするんだ。

(濡れた床や外で最後に滑ったのはいつですか?)
冬に滑ったよ、多分。僕だって人間だからね。

(あなたは話せば話すほど、謎が深まりますね!エネルギーに満ちあふれているのには、何か秘密があるのですか?)
周りにいる人たちのおかげだよ。良いオーラを持った近しい人たちに囲まれていれば何の問題もないんだ。大切なことだね。

(お子さんは男の子だけですが、どんな風に育てられてるんですか?何か教えていますか?)
息子は愛さなくちゃね。でも厳しく接しないと。アメとムチだね。子供のうちから夢を持てるように育てないと。夢を見るというのは、目標があるということだから。そこに少しずつ向かっていくように。

(奥さんはオリンピック後にもっと子供を産むと約束されたそうですね。もし女の子ができたら、彼女には男性についてどんなアドバイスをしますか?)
守るだろうね。男っていうのはね!って自分でわかってるから。彼女もアスリートに絶対なるね。

(あなたは家庭の中で「主人」ですか?)
もちろん、それ以外考えられないよ。

(男性はいつも自分が「主人」だと思いますが、実際は違っていたりします。)
人の話を聞くのは好きだ。アドバイスをお願いすることもある。でも、自分なりに考えてから行動する。妻が勧めたとおりにやることもあるけど、それで居心地が悪くなったりしない。娘はもちろん本当に欲しいんだ。周りは野郎ばっかりだから。あと3人でも4人でも喜んで作るんだどね。

(となると、いつまでもアスリートとしてのキャリアを終わらせられないですね。)
なぜ?ちょうど子供のために生きることができると思うけど。

(だって、そんなにたくさんの子供をどうやって食べさせていくのですか?)
国からもらうお金は少ないかもしれないけど、なんとかできるよ。

(終)

テーマ: フィギュアスケート | ジャンル: スポーツ

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コメント

No title

プルシェンコが本当にしゃべっているような自然な訳で、とても読み応えがあって感激しました。前篇・後篇ありがとうございます!
「僕は、ジャッジが見ている時のような、アドレナリンが出るような方が好きだ。戦っているときの危険な感覚、競技前の気分を好む。」
この文章面白いですね。プルシェンコが羽生選手を好きな理由が分かった気がしました。
「筋肉があたたまるまで2時間は必要だ。」「僕が障害者になるかどうかを知るのは神のみだ。」
プルシェンコの覚悟を知ってショックを受けました。オリンピックで4回無事演技ができますよう祈るばかりです。
「リスクを取らない者がシャンパンを飲むことはない。」
いい言葉ですね。ロシアのことわざ?

4回転や3Aは、やっぱり痛いのですね。それなのに9万ルーブル…。
プルシェンコの人間宣言!!
「子供のうちから夢を持てるように育てないと。夢を見るというのは、目標があるということだから。」
素晴らしい言葉。たくさんの人に読んでほしいと思いました。
ユーリさん、翻訳してくださってありがとうございました。

2014/02/02 (Sun) 13:33 | zun #- | URL | 編集

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