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エヴゲニー・プルシェンコ:もう急がないように!(前篇)

ルースキー・ピオネールという雑誌に、プルシェンコの記事が掲載されたようです。今回のオリンピック棄権の経緯について、事細かに書かれています。

オリンピックの団体戦で好成績を残し金メダルを取ったあとの個人戦、舞台はロシア・ソチというこれ以上ない場面で棄権をしたことは、その決断自体がものすごい痛みを伴うものなのですが、なかなか理解できない方々もロシアにいるようで…。

ちょっと長かったので、訳しきれず前後編にしてしまいました。変なところで止めてしまいましたがご容赦くださいm(_ _)m

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もう急がないように!


エヴゲニー・プルシェンコ
http://www.ruspioner.ru/cool/m/single/4162

人には可能性がある。人の可能性を超える何かもある。同時に、どんなときでもできない何かもある。僕はできることはすべてやり遂げた。でも、神様が僕を止めたということは、止まらなくてはいけなかったということだ。

有名な人もそうでない人も、多くの人がこんな風に話し始めた。「最後まで行くべきだった!」 僕はただ彼らに訊いてみたい。「あなたならできたのだろうか?メダルのために自分の身体を差し出せるか?こんなに痛いのに滑ることができたのか?」 僕が痛みを恐れたと思ってるのか?僕は最後まで歩いてきたし、やれることはやってきた。例えば、半月板の痛み。僕は4回の手術をしたけれど、その痛みにどうやって戦うかは知っている。それから、鼠径ヘルニアも除去したけど、痛みを感じながら滑っていた。でも、ウォームアップで2回転ジャンプを跳んだあとという、世界中でもこれ以上に止まりたくないときはないというその瞬間に、脊椎に何かが起こって、右足の感覚がなくなってしまった。そうなると、もう精神力でも我慢でも、どうにかしてくれるようなものは何もない。「アイスバーグ」アリーナで、何千人もの観客と何百万人ものテレビを見ている人達の前で、足が効かなくなったんだ。そして、体がまるでもう自分のものでなくなったかのようで、2回転どころか1回転だって跳べるはずがないとわかった、というよりも感じた。みんなが理解してくれることを願っている。耐えることのできない痛みもあるということを。

そのときでさえこれがどんなに危なかったかを完全には意識していなかった、ということがわかった。その日のことを何度も思い出して、頭の中をぐるぐる回してしまう今になって。僕の脊椎にはチタン製のボルトとポリマー製の椎間板が入っていたことはだれにとっても秘密ではないだろう。今、後になってわかったことだけれども、腰に炎症が残っていて、その構造は完全には定着せず、筋肉で固定されていなかったようだ。それでも僕は練習をしなくていはいけなかった…。もちろん、そのときの僕に1年間あれば、その構造は耐えられたんじゃないかと思う。でもジャンプごとに、衝撃があるごとに、医師が僕の腰に埋め込んだものがぐらついていたんだ。その結果、ボルトのうち1本が少しだけ横にずれて、個人戦のショート・プログラム前のウォームアップでジャンプの着氷に失敗したまさにその最後の瞬間に、ボルトが完全に折れたんだ。そのときは、何か深刻なことが起こったとは思ったけど、まさかチタン製の構造が壊れるものだとは想像もできなかった。ボルトの一部はそのまま腰に突き刺さっていた。椎間板に何か起こったとは思っていたけど、ここまでとは…。

演技を続けていたら最悪の事態になったかもしれないと医師は話した。着氷の失敗や、着氷に成功したとしても、いかなる負荷でもボルトが腰の神経を傷つける可能性があった。そんなことになったとしたら、僕はもう競技のことも、メダルのことも、フィギュアスケートなんかのことは考えられなくなっただろう。その代わりに、車いすの車輪を回すことを覚えただろう。

イスラエルに着くまではゾンビのように歩いていたけど、それまでは何が起こったのか正確にはまだ知らなかった。1回めの手術をした外科医とすぐ電話で話した。彼が診察の日程を決めて、僕らは待った。裁きか、希望かを。ひどい痛みは始まっていて、そのとき許可されていた抗炎症剤を使って戦っていたのだけれども、全然効かなかった。今使っている薬は使えなかったんだ。まだスケーターであって、いかなる時であってもドーピング・テストをさせられるかもしれなかった。そうなれば、確実に陽性になってしまうからだ。

そしてようやく診察が始まった。レントゲン、血液分析…。懸念が確認された。ボルトの1本が外れて骨の隙間に刺さっているという疑いだ。2日間にわたって僕は診察を受け、光を当てられ、調べられた。そして、手術をするという決定が下された。こんな短期間の間に2度めの脊椎手術だ。でもどうしようもない、折れたボルトを腰にかかえて生き、練習するのは、控えめに言っても不可能だ。医師は僕にこう言った。切って、骨や筋肉が癒着したかどうかを確認する。もしそうなら、そのチタンの構造は分解して腰から取り出す。でももしまだ隙間があるようなら、それをさらに2本のボルトで強化する、と。

(続く)

テーマ: フィギュアスケート | ジャンル: スポーツ

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